Y-227 TYPHOON

あの夏の恋の苦しいときめきを
ひとり ひとり ひとり
私の胸の奥に生まれた台風が
シーツの海を吹いてゆくの
哀しくてこわいから
あなたを離さないわ
もう すぐに外はタイフーン
松任谷由実「TYPHOON」
オリジナルアルバム『VOYAGER』より

ユーミンの曲の中で一番エロティックと言われている曲です。
基本的にユーミンの作る歌というのは、エロさはほとんどない気がします。
さりげなく「もう見れないの あの眩しいブロンズの肌(遠雷)」「どんなに燃えて求めても決してひとつにはなれないの罪と罰)」というように匂わせるフレーズは時々登場するけれども、エロティックな感じは一切出さないところがサザンとか陽水とはまったく違うシンガーソングライターだと思います。
そんな数あるユーミンの楽曲の中で、唯一「TYPHOON」だけが、かなり直接的にエロティックな表現を入れているんですね。
それが

私の胸の奥に生まれた台風が
シーツの海を吹いてゆくの

というフレーズ。
かなりダイレクトにエロい感じがしませんか?
しかもモーチーフは台風ですよ。
エロさもかなり深まる天候。

あと、元々この曲は小林麻美に提供した曲なんですよね。
小林麻美がセクシー女優というカテゴリーだったと思うので、そんな彼女に合わせて作られたから、エロいんだというとらえ方もできます。

この曲は他にもいろんなことに気づかせてくれます。

ブラインドのすきまの空は不思議な色

ブラインドのある部屋って、今じゃ珍しいんじゃないでしょうか。このアルバムが発売された1980年代はバブル全盛期で、ホテルなんかでもブランドカーテンというのはおしゃれなカーテンとして流行っていた時期がありました。

それから、この曲は不倫の曲なんじゃないかっていう指摘もありました。
彼氏とホテルで浮気をしていて、彼が明け方帰ろうとするけれども、それを台風だから帰さないと歌っているという解釈。

なるほどね、そういう読み方もできるわね、と感心しました。

とにかく正隆さんのアレンジが最高なんですよね。まったりとした、あの台風が近づいて来る時の空気感を見事に表現しています。
そのアレンジのおかげで、よりこの曲の情景をくっきりと思い浮かべることができるし、名曲だなぁって思います。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雨景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 04 Night and Day