Y-54 かんらん車

いつしか雪が静かに舞いながら
チャコールの下界へと流れて
きっとあなたは窓の外を見てる
あのひとの肩を抱きよせて
松任谷由実「かんらん車」
オリジナルアルバム『流線形'80』より

ユーミンの曲の中で何が一番好きですか?と聞かれることがある。沢山ありすぎて答えられないという人も多いし、その心境も良く理解できます。
確かに、その時によって好きな曲は違うし、その時のマイブームというのがあるから、いつでも一番好きなユーミンソングというのはなかなか選べない。
しかし、それでも、ぼくは敢えてその質問に対して迷わずに答えることができる曲があります。それが「かんらん車」なのです。
つまり、ユーミンの曲で一番好きということは、世界中の音楽の中で一番好きな曲ということ。
ぼくはこの曲を中学時代に聞いていたわけですが、その時からぼくの心にじんわりと染み入りました。
そんな経験なんかしたことないのに、まるでこういう経験をしたかのような想いでこの曲を聴くことも多くなってきました。
先日、東京でも朝から雪が降りました。
ぼくはかねてより、雪が降ったら、六本木ヒルズで行われているユーミンミュージアムに行って、雪の東京を見下ろしたいと思っていて、その日は朝から準備をして、家を出てから、ずっとこの曲だけを1曲リピートしながら六本木に向かいました。
ほんの一瞬しか降らなかったし、積もることもなく、写真に撮っても雪なのか何のかわからない感じではありましたが、それでも、ぼくには十分でした。
2018年から始まった「タイムマシンツアー」の初日に行ったのですが、ベストにも入っていなかったこの曲を歌い始めた時、ぼくは鳥肌が立ちました。
そして、この曲は絶対に北海道で聞かなくちゃいけないと思い、それから慌ててチケットを取り、確か11月か12月の北海道の公演にも行ってきたのです。雪の北海道で「かんらん車」を聞くのが夢だったから。
しかし、その年は暖冬だかで雪が降らずに、物足りない想いをしました。
だが、その翌年の2月に雪が降り、たまたま札幌で仕事の用事があったので、一泊だけして来たのですが、念願の「かんらん車」を雪が降りしきる中で聞くことができたし、札幌市内のビルの屋上にあるかんらん車に乗って、疑似体験をすることもできました。
それぐらい、この曲には思い入れがあるのです。
ユーミンはしばしばこの曲をツアーや苗場で歌ってくれます。
ぼくが初めて行った「アラームアラモードツアー」、「スユアの波」、シャングリラでもこの曲を歌ってくれました。
この曲の肝は、正隆さんの間奏部分のアレンジです。とにかく美しくて、せつないメロディ―。
そして、曲全体が非常に静かで哀愁に満ちあふれています。しかも、それが押しつけがましくないのです。
歌詞のすべてが愛おしくて美しくて切ない。
もうね、この曲に関してはいくら語っても語り足りないくらい好き。
きっとこれからもこの曲はユーミンの曲の中で一番好きな曲と言い続けることになるでしょう。

<用紙&インク>    
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雪景摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track Frozen