Y-036 雪の道しるべ

いつかは溢れる記憶も
残さず覚えておきたい
ある日立ち止まり 何もないことに
突然気づいたとしても
消えゆく雪の道しるべ
辿れば必ず見えて来るはず
あなたに今 会いに行く

松任谷由実「雪の道しるべ」
アルバム『深海の街』より

昨日ご紹介した「あなたに会う旅」はハウスの北海道クリームシチューで使用された曲ですが、今日ご紹介する「雪の道しるべ」も同CM曲です。
そして、ぼくの中ではこの2曲は姉妹関係にあるのではないかと思っています。
この曲は何となく亡くなった人のことを歌っている気がするのです。

磁石が止まった瞬間
あなたがいるのがわかった

というオープニングの歌詞が、そんな亡くなった人への曲ではないかと思わせるのです。

そして、上記で取り上げたフレーズにぼくはユーミンの楽曲の奥深さを感じました。
残さず覚えていたいことってたくさんありますよね。美しい風景を見たり、コンサートに行ったりすると、そういったことを全部覚えておきたいと思います。でも、それはほとんど不可能なこと。
そして、「何もないことに突然気づいたとしても」というフレーズにぼくはハッとしました。
軽度の認知症の母のことを思い浮かべたのです。
今、母とは同居しているのですが、色々なことを、特に直近のことを忘れてしまうことが多く、自分でもそれを自覚して不安だというのです。
まさに「何もないことに気づいた」状態なのではないでしょうか。
この曲は老いを歌っているのかとすら思ったほど。
年々、ユーミンの曲にいろいろな意味を見出すようになり、なんだか、しんみりとしながら聞くことが多くなりました。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雪山冬休暇>
KEN'S NIGHT 1st Track 12 Moon River