Y-020 私を忘れる頃

あなたに のぞまれても
捨てられなかった夢
やがて許してね いつか許してね
私を忘れる頃

松任谷由実「私を忘れる頃」
アルバム『VOYAGER』より

ユーミンの曲の中でもこの曲は上位に入るくらい好きな曲です。
この曲を初めて聞いたのは、多分高校生の時だったと思うのですが、こういう大人っぽい曲が当時から大好きでした。
いつかこういう恋愛(これは失恋ソングではあるけど)をしたいなぁと思いながら、憧れの恋愛の世界として聞いていたところがあります。
真冬の展望台のキリッと冷えた空気感や美しい夜景が見えてくるようです。ところで、この曲の舞台となっているのは、長崎の稲佐山の展望台だと言われていますが、函館の夜景だという人もいて、一体どちらなんでしょうか。
でもね、ぼくはどちらでも良いと思うんです。
その人の思い出の中にある展望台が舞台。
そう思いながら聞いています。
ところで、この曲は苗場でも聞いたことがあります。
メインステージの他にもう一つ小さなサイドステージが離れたところに設けられ、ユーミンがゴンドラに乗ってこの曲を歌いながらメインステージからサイドステージに移動したんです。
真上をユーミンがこの曲を歌いながら横切って行ったんですよ!
あの時の感動は今でもくっくりとあのシーンと共に思い出すことができます。
ところで、この曲の歌詞にも深い意味が隠されています。

それは

あなたに のぞまれても
捨てられなかった夢

という部分、「やがて許してね いつか許してね」という歌詞に続くこの部分を皆さんはどう解釈していますか?

ここで注目したいのは1番の歌詞。

遠く離れても 遠く離れても
ずっと元気でいて

という箇所から推察するに、彼は仕事か何かでどこか遠くへ転勤することになった。そして彼は彼女についてきて欲しかったんでしょうね。

そこからぼくが導き出した答えは彼からプロポーズをされたというシチュエーション。

主人公の女性はつきあっている男性に結婚して自分についてきて欲しいと告白されたんだと思います。でも彼女には叶えたい夢があった。結婚することになると、その夢を叶えることができない。だから、彼女は別れを選んだ。とぼくは解釈しているんです。

嫌いになって別れるわけではなく、好きだけど別れなくてはならない状況ってたくさんありますよね。
それをユーミンは美しい冬の展望台の景色とともに描いているんです。
だからこそ、ヒリヒリした気持ちが伝わってくるんですよね。

さらにぼくの好きなフレーズがあります。
それが

煙草の先が ふうときどき紅く灯るたび
照らされる横顔

この情景が冬の展望台の空気感をさらに色濃く表していると思います。

はぁ、本当にユーミンって素敵!
この曲を聴くたびにぼくはうっとりとしてしまいます。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<流星摩天楼>    
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track The Rose