Y-280 スラバヤ通りの妹へ

やせた年寄りは責めるように
私と日本に目をそむける
でも “RASA…RASA SAYANG GEH”
そのつぎを教えてよ
少しの英語だけがあなたとの
架け橋なら淋しいから
RASA SAYANG GEH
松任谷由実「スラバヤ通りの妹へ」
オリジナルアルバム『水の中のアジアへ』より

アジアをテーマにした、4曲入りアルバムに収録されている曲で、舞台はインドネシア
初めてぼくがバリ島に行ったのが1991年のことだったのですが、その時、この「Rasa Sayange」を探し回りました。
現地の人に聞くと、どうやらこの曲は童謡みたいなもので、当時はそういう童謡をきちんと収めたテープがみつからず、唯一誰かがメドレーで歌っている中にこの曲が入っていて、そのカセットテープを買ってきた覚えがあります。
今はとても便利な時代で、Spotifyで「Rasa Sayange」と検索すると、すぐに音源が出てきます。
ただ、どれもDJリミックスみたいになっていて、純粋な童謡みたいなのは音源としてみつかりませんでした。
ぼくは、この曲を聴いてから、スラバヤってどんなところなんだろうと思っていたら、スラバヤ通りそのものはジャカルタにあるのだと知りました。スラバヤ自体は少し離れているし、治安もあまり良くないと聞いたので、ジャカルタのスラバヤ通りにはいつか行きたいなと思っています。
ぼくはバリ島に行った時に現地のホテルのボーイに片想いをして、帰国してから独学でインドネシア語を勉強したのですが、まさに

少しの英語だけがあなたとの
架け橋なら淋しいから

という理由でした。
その後、ぼくは6回もあの島に行くことになるわけですが、そういう意味でもこの曲はとても思い入れのある曲です。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 3rd Track 10 Unforgettable ※ラメ入り

Y-279 Home Town へようこそ

きみに見せたい景色があるんだ
いつも話してきかせてくれたね
本当に田舎ね ここは素敵な Home Town
雲の輝きにまぶたをこすった
急に顔をのぞき込むのね
澄んだ瞳なのは
澄んだ空のせいね
ついてゆくから幸せにして
松任谷由実「Home Town へようこそ」
オリジナルアルバム『Delight Slight Light KISS』より

当時のラジオで聞いたのですが、これ、作詞で悩んだ曲みたいです。正隆さんから「本当に田舎ね ここは素敵なHome Town」という部分がユーミンらしくないと指摘されたのだそうです。
そこをユーミンが曲げずに歌ったんですよね。
でも、ユーミン自身は八王子とはいえ、東京生まれだし、正隆さんも世田谷のお坊ちゃまなので、これはあくまでもフィクション。でも、多分、田舎に嫁ぐ女性だったら、この歌詞の意味が良く理解できるんじゃないかなと思います。
<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雨景摩天楼>
KEN'S NIGHT Limited Track05 Take Five

Y-278 冷たい雨

冷たい雨にうたれて 街をさまよったの
もうゆるしてくれたって いい頃だと思った
部屋にもどって ドアをあけたら
あなたの靴とだれかの赤い靴
あなたは別の人と ここでくらすと云うの
こんな気持のままじゃ どこへも行けやしない
松任谷由実「冷たい雨」
オリジナルアルバム『OLIVE』より

昨日の投稿で、「たぶんあなたは迎えにこない」の続編的な曲は「冷たい雨」だと書きましたが、良く良く聞きこむと、ちょっとシチュエーションが違いますね。
「たぶんあなたは迎えにこない」の方は、「たまには少し心配させたかった」から、家出をしたんだけど、こちらは主人公はどうやら相手と喧嘩をして、家を飛び出したようなシチュエーションなんですよね。
街をさまよったのがどれぐらいなのかわからないけれども、例えば一週間とかそういう比較的長いスパンだと思うのです。
そして、主人公が家にいない間に、あなたが誰かを家に引き連れてきていて、絶望にうちひしがれるという内容。
そして、今回もポップで明るい曲調に仕上がっているところがユーミンらしい。

ところで、このアルバム自体は松任谷由実名義なのですが、曲そのものは、荒井時代に作られて、1975年のバンバンへの提供曲「『いちご白書』をもう一度」のB面に収録されたので、荒井由実名義になっています。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT Limited Track07 In a Sentimental Mood

Y-277 たぶんあなたはむかえに来ない

線路のむこう 町が見えはじめたら
大つぶの雨 駅はもうすぐなのに
んーいじわる
心はもうホームに すべり込んでいる
たまにはひとり どこかへ行きたかった
たまには少し 心配させたかった
ただそれだけ
荒井由実「たぶんあなたはむかえに来ない」
オリジナルアルバム『MISSLIM』より

これって、シチュエーション的に家出ソングだと思っています。(実際に家出ではないんだけど、彼氏を心配させようとしてひとりでどこかへ行くという意味での家出ね)
それは

たまにはひとり どこかへ行きたかった
たまには少し 心配させたかった
ただそれだけ

という歌詞から読み取れます。
でも、彼は迎えに来てくれない、だからフラれてしまった…っていう歌なんですよね。
それをこれまた、軽やかに歌うユーミンって、本当にすごいね。

何となく、「冷たい雨」に通じるものがあると思いませんか?ぼくは、この曲の延長線上にあの「冷たい雨」があるのではないかと思っています。

ところで、この曲の編曲は正隆さんと山下達郎になっているんですよ。だから、バックコーラスはシュガーベイブですね。そんな点にも気を付けて聞いてみてください!

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雨景摩天楼>
KEN'S NIGHT Limited  Track01 Blue in Green

Y-276 雨の街を

夜明けの空はブドウ色
街のあかりをひとつひとつ消していく
魔法つかいよ
いつか眠い目をさまし
こんな朝が来てたら
どこまでも遠いところへ
歩いてゆけそうよ
松任谷由実「雨の街を」
オリジナルアルバム『ひこうき雲』より

ユーミンは比喩表現が非常に上手なシンガーソングライターだと思っています。時に文学的な表現だなと思うことが多いです。
この曲のこの部分もまさにそう。

夜明けの空はブドウ色
街のあかりをひとつひとつ消していく
魔法つかいよ

これ、みなさんどう解釈していますか。
これはね、夜明けの街の様子を描いているんですよ。
夜の間は点っているあかりも、だんだんと空が白み始めると、ひとつひとつ消えて行くじゃないですか。明るさによって、あかりが目立たなくなるということもあるし、自動的に明るくなると消えるようになっている電灯もあるでしょう。
その様子を魔法使いがひとつひとつ消していくと歌っているのです!
それまで、特に何も気にせずに聞いていたけど、それに気づいてから、うわっ!すごい!この歌詞!ってなりました。本当に文学的で、そこがまたぼくがユーミンのことが大好きな理由のひとつです。


<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雨景摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track Don't Rain on My Parade ※ラメ入り

Y-275 Good-bye Goes by

にわか雨がタップダンスで
朝の通り 渡って行った
雲のない10月のブルー
きみの出番を待っている
泣き明かした夜に good-bye
あてのない電話はもういらない
松任谷由実「Good-bye Goes by」
オリジナルアルバム『LOVE WARS』より

松任谷由実になってからの10月ソングの代表曲。
テレビドラマの主題歌として書かれた曲なんだけど、主題歌目当てで何回か見ただけで、ずっと見ることはなかった気がする。でも、ところどころ、ドラマの途中でユーミンの曲が使われていたような記憶。(浅野ゆう子お姉さまが主人公だったっけ?)
そんなに派手な曲ではないけれども、ちょっとした日常を歌っている感じがして好き。
10月の独特の寒くもなく暑くもない空気感を見事に音にしているなって思いました。
そして、これもまた失恋ソングなんだけど、前向きなんだよ。

新しいステップ きこえて来る ほら

というCメロの部分、まさにユーミンっぽい感じがして、そこもぼくの気に入った。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雨景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 07 Stardust ※ラメ入り

Y-274 さざ波

愛が終わるのを 繕ったら
明日を生きるのに おくれたわ
オールも持たず漂いながら
やさしい人に手紙を書きたい
心も文字も少しゆれてる
グレイの影と私だけの十月
松任谷由実「さざ波」
オリジナルアルバム『14番目の月』より

10月に入ったので、荒井由実時代の10月ソングから。
軽やかなリズムと明るいメロディが印象的。
でも、よく聞くと、失恋ソングなんですよね。

愛が終るのをたしかめずに
ひとりここへ来てよかったの

という歌詞からもこの曲の主人公の恋が終っていることがわかります。
でもね、ユーミンの失恋ソングの良いところは、常に前向きであること。
だって

もうしばらくは本当の愛を
見つけられずに さまよってもいいの

って歌っているんだもん。
ところが、実はこれって強がりでもあるんだよね。
明るく振る舞っているけど、それって自分を鼓舞するためだったり、周りの人たちに憐れまれたり、心配されたりしたくない時ってあるじゃん?そういう心情が逆に明るい曲調となって表れていると思うのです。

短いけれど楽しかったと
強がりだけを岸の落葉にそえて

という歌詞からも推察されます。

ところで

やさしい人に手紙を書きたい

のやさしい人って、誰のことでしょうか。ぼくはね、同性の友だちではなく、何となく異性の友だちのような気がするの。それって、「星空の誘惑」にもつながるんだけど、こういう時に心を許せるのって、憎からず思っている異性の友だちだと思うんだよね。だから、ぼくは勝手にこの「やさしい人」は主人公にとって、そういう人だと思っています。

ところで、この曲、コーラスの部分に注目ならぬ注耳!
特に大貫妙子の声がはっきりと聞こえます。
彼女のクリアな声が10月の空気にぴったりで、そこもぼくは大好きなんです!

 

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT ミニ正方形メモ帳<彩色音楽集>
KEN'S NIGHT 1st Track 02 Autumn in New York