Y-274 さざ波

愛が終わるのを 繕ったら
明日を生きるのに おくれたわ
オールも持たず漂いながら
やさしい人に手紙を書きたい
心も文字も少しゆれてる
グレイの影と私だけの十月
松任谷由実「さざ波」
オリジナルアルバム『14番目の月』より

10月に入ったので、荒井由実時代の10月ソングから。
軽やかなリズムと明るいメロディが印象的。
でも、よく聞くと、失恋ソングなんですよね。

愛が終るのをたしかめずに
ひとりここへ来てよかったの

という歌詞からもこの曲の主人公の恋が終っていることがわかります。
でもね、ユーミンの失恋ソングの良いところは、常に前向きであること。
だって

もうしばらくは本当の愛を
見つけられずに さまよってもいいの

って歌っているんだもん。
ところが、実はこれって強がりでもあるんだよね。
明るく振る舞っているけど、それって自分を鼓舞するためだったり、周りの人たちに憐れまれたり、心配されたりしたくない時ってあるじゃん?そういう心情が逆に明るい曲調となって表れていると思うのです。

短いけれど楽しかったと
強がりだけを岸の落葉にそえて

という歌詞からも推察されます。

ところで

やさしい人に手紙を書きたい

のやさしい人って、誰のことでしょうか。ぼくはね、同性の友だちではなく、何となく異性の友だちのような気がするの。それって、「星空の誘惑」にもつながるんだけど、こういう時に心を許せるのって、憎からず思っている異性の友だちだと思うんだよね。だから、ぼくは勝手にこの「やさしい人」は主人公にとって、そういう人だと思っています。

ところで、この曲、コーラスの部分に注目ならぬ注耳!
特に大貫妙子の声がはっきりと聞こえます。
彼女のクリアな声が10月の空気にぴったりで、そこもぼくは大好きなんです!

 

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT ミニ正方形メモ帳<彩色音楽集>
KEN'S NIGHT 1st Track 02 Autumn in New York