Y-015 さまよいの果て波は寄せる

いつも悩みをたずさえて 潮騒をきいた
けれど答えは得られぬまま朝焼けは終る
銀の雲間から差し込む光いくすじも見とれ
冬の日の冷たさを忘れてた

 

松任谷由実「さまよいの果て波は寄せる」
アルバム『悲しいほどお天気』より

男子校時代、ぼくは大好きなクラスメイトがいました。
中学3年生の時に彼と同じクラスになり、そのまま高校の時もクラスメイトでした。
もちろん、彼はストレートの男性でしたが、ぼくは彼のことが好きで好きでたまりませんでした。
物静かで、男らしくて、テニスをやっていたから陽に灼けていて、クールな奴でした。
しばらくは彼はぼくのことを普通の友人として接してくれたのですが、高校3年の時、あることがきっかけで(長くなるのでここでは割愛しますが)、彼はぼくを避けるようになり、友だち関係も崩れてしまいました。
そのことを知った時、ぼくは辛くて辛くてたまらなくて、自分の悲しい気持ちをどう処理したらよいのかわからない日々を過ごしていました。
そんな時に、ぼくはユーミンのこの曲を思い出し、この曲だけをカセットテープに入れて、当時住んでいたところからバスで直行できた晴海埠頭に向かったのです。
文化祭が終わってしばらくしたころだったので、寒い冬の日だったのを今でも覚えています。
そして、晴海公園を歩きながら、ずっとこの曲を聴いていました。
どれぐらい埠頭で風に吹かれていたのか、今では忘れてしまいましたが、でも、この曲にぼくの傷ついた心が少しずつ癒されていったのでした。
そして、今でもこの曲を聴くと、胸のどこかがヒリヒリと痛むのです。でも、その痛みは辛い痛みではなく、ちょっとほろ苦い、でも一途に好きだった自分の勲章のような痛みでもあります。
この曲は失恋ソングではあるけれども、一途に誰かを愛した人を慰めてくれる曲なんじゃないかと思うのです。

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<雪原冬休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track Frozen