Y-206 海を見ていた午後

あなたを思い出す この店に来るたび
坂を上って きょうもひとり来てしまった
山手のドルフィンは 静かなレストラン
晴れた午後には 遠く三浦岬も見える
ソーダ水の中を 貨物船がとおる
小さなアワも恋のように消えていった
松任谷由実「海を見ていた午後」
オリジナルアルバム『MISSLIM』より

荒井由実の中で一番好きな曲は何?と聞かれたらまっさきに「海を見ていた午後」と答えるほど好きな曲。
この曲の世界観がまずたまらなく良いんです
何となくぼんやりとした水彩画のような世界。

ソーダ水の中を貨物船がとおる

というのも、そんな絵画的な表現んじゃないでしょうか。
こんな表現はユーミンにしかできないし、この世界観を翻訳するのも非常に難しいので、ユーミンの曲はとても日本的だとぼくは思っています。
二番の歌詞

あの時目の前で思い切り泣けたら
今ごろふたり海を見ていたはず

って、聞くたびに泣きたくなります。
元カレと13年前に別れた時の事を思い出すから。
彼の方から別れを切り出されたのですが、あまりの突然の出来事にぼくは何も言えなくなってしまったんです。
泣くことすらできなかった。
後から聞いた話ではその時のぼくの反応に彼の方が驚いたんだとか。
それを聞いて、もしこの歌詞にあるように思いきり泣けたら、二人の関係はもう少し続いたかもしれないと思うと、ますます泣きたくなるのです。

ところで、ぼくが初めて山手のドルフィンに行ったのは大学時代のこと。クラスメイトにその近くに住んでいる子がいて、彼に連れて行ってもらったのです。当時は高級なレストランという雰囲気で、行く前に彼から「恥ずかしいからユーミンの話はしないでね」と念を押されて行ったのを覚えています。なんだかやけに格調高い雰囲気で、何を食べたかほとんど忘れちゃった。今はクリームソーダを注文するたびに爆音でこの曲が流れますけどね。笑笑

<用紙&インク>
KEN'S NIGHT 五線譜箋<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track (They long to be) Close to You